2001 年 63 巻 2 号 p. 162-165
症例1: 81歳,女性。症例2: 67歳,女性。症例3: 8歳,女児。症例4: 83歳,女性。4例すべてにおいて,顔面白癬の診断後,患者の訴えはなかったが,頭髪の診察を行い,毛孔一致性の黒点を発見した。KOH鏡検にて,毛内性菌寄生の像が認められ, black dot ringworm(以下BDR)と診断した。症例1ではTrichophyton glabrum,症例2,3ではTrichophyton violaceum,症例4ではTrichophyton rubrnmを分離同定した。 BDRの症例の中には患者の自覚の遅れや診察医の見逃しのためステロイド外用剤誤用によりケルスス禿瘡へ移行した症例もみられる。このため,BDRをなるべく早期に発見することが皮膚科医に求められる。BDRの好発年齢である,小児および高齢者女性の顔面白癬を診た場合,頭髪の診察は必須である。