西日本皮膚科
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研究
足白癬と腸内細菌叢との関連についての臨床研究
田中 達朗平 嘉世三浦 由宏平島 徳幸凌 太郎成澤 寛正木 恭介土居 達也久米村 恵
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ジャーナル 認証あり

2001 年 63 巻 2 号 p. 176-180

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抄録

今回の研究に先だって排便状況とアトピー性皮膚炎や白癬などの皮膚疾患罹患状況との関連性について調査対象者本人の自己申告に基づくアンケートを実施した。その結果,排便状況,特に下痢症状と皮膚疾患に何らかの関連性が存在する可能性が示唆されたため,足白癬を対象に排便状況との関連を検討した。陸上自衛隊員(足白癬罹患者27名,健常対照者9名)を対象に調査した。足白癬患者群の皮膚症状の評価は自覚症状と皮膚所見,cottor-swab sampling methodにより得られたコロニー数を基に総合的に判定した。足白癬患者群でcotton-swab sampling methodによるコロニー数毎の腸内細菌占有率と,健常対照者群の腸内細菌占有率を比較したところ,Bifidobacteriumのみ危険率0.05未満で各群との有意差があり,足白癬の症状の程度が悪いほど腸内のBifidobacteriumの占有率は低く,足白癬を含めたその他の感染症の成立または維持に腸内ビフィズス菌が関与している可能性が示唆された。

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© 2001 日本皮膚科学会西部支部
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