西日本皮膚科
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症例
テトラサイクリンとニコチン酸アミドの併用内服療法が奏効した水疱性類天疱瘡の4例
稲沖 真長谷川 洋一有川 佳代越後 岳士竹原 和彦竹田 公英原田 ゆかり
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2001 年 63 巻 3 号 p. 235-239

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抄録

副腎皮質ホルモン剤内服に問題のあった水泡性類天泡瘡患者4名にテトラサイクリンとニコチン酸アミドの併用内服療法(TC/NA療法)を行い有効であった。症例1: 70歳女性。水痕性類天泡瘡に対するプレドニゾロン内服の減量時に再燃した。DDSやアザチオプリンの併用は無効で, TC1000mgとNA1500mgの併用により皮疹は消退した。症例2: 99歳女性。水疱性類天疱瘡に対するベタメタゾン内服治療中に副腎皮質ホルモン剤によるせん妄が出現した。オキサゾラム内服でせん妄はコントロールされたが,水疱性類天疱瘡の再燃時に副腎皮質ホルモン剤を増量したところせん妄が増悪した。TC1000mgとNA600mgを併用して副腎皮質ホルモン剤を減量することによりせん妄は軽減した。症例3: 91歳女性。水疱性類天疱瘡の再燃時にプレドニゾロンを増量したところ,消化管出血を起こしDICの状態に陥った。副腎皮質ホルモン剤を中止し,メシル酸ガベキサート点滴などの治療で全身状態は回復した。その後水疱が再発したが,TCとNAの内服で消退した。症例4: 75歳女性。脳梗塞の既往のため副腎皮質ホルモン剤は投与せず,TCとNAの内服を行い皮疹は消退した。過去の報告および自験例の経過よりTC/NA療法は中等症以下の水疱性類天疱瘡に対して有用と考えられた。また,副腎皮質ホルモン剤内服によるコントロール不良の水疱性類天疱瘡の場合,TCとNAの併用により副腎皮質ホルモン剤の減量を試みることも有用と思われた。

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© 2001 日本皮膚科学会西部支部
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