西日本皮膚科
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症例
筋原性酵素の増加が著明であった汎発性粘液水腫
延藤 俊子幸田 衞植木 宏明
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2001 年 63 巻 3 号 p. 263-266

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抄録

73歳,男性。18歳時に被爆。初診の約1年前から便秘し易く,近医で貧血を指摘されていた。数ヵ月前から全身にそう痒を伴う紅斑が出現し,血液検査でLDH 1753IU/l, GOT 54IU/l, CK 2348IU/l(CK-MM 92.3%), aldolase 14.9IU/lと筋原性酵素の著しい増加を認めた。筋力低下,Gottron丘疹,蝶形紅斑などは見られなかった。セレスタミン内服により紅斑が消退するに従い,皮膚の乾燥·粗ぞう,浮腫性硬化が明らかとなり,皮膚生検で真皮全層にムチンの沈着を認めた。TSH 53.99μIU/ml, free T4 0.4ng/dl未満, free T3 1.0pg/ml未満で,抗マイクロゾーム抗体が陽性であった。超音波検査で甲状腺はやや萎縮性で腫瘤は見られず,心電図で低電位·T波平坦化,心臓超音波で心嚢液貯留を認めた。甲状腺ホルモン剤内服により筋原性酵素値は低下し,皮膚の浮腫性硬化,貧血·血小板減少も軽快した。それまで自覚されていなかった難聴,毛髪の減少,動作·言語の緩慢さなども改善された。自験例は血中筋原性酵素が筋炎を疑わせる程著明に増加し,これが甲状腺機能低下症の主要な所見となっていた興味ある症例である。甲状腺機能低下症は特異的な症状に乏しく,自験例のように筋症状が本症の主症状となることもあり,注意すべきであると考えられた。

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© 2001 日本皮膚科学会西部支部
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