西日本皮膚科
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症例
全身性形質細胞増多症の1例
久保田 由美子力久 航桐生 美麿中山 樹一郎
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2001 年 63 巻 4 号 p. 415-420

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抄録

35歳の女性。初診の4年前,第2子出産後頃より,顔面,背部に自覚症状のない径1cmまでの赤褐色斑が数個出現。7ヵ月後第3子妊娠中に発熱,全身倦怠感を伴うようになり,炎症所見(CRP上昇,血沈促進),ポリクローナルな高γグロブリン血症,頚部リンパ節腫脹,脾腫を指摘された。内科入院の上,膠原病,感染症を疑われ諸検査を受けるも確定診断がつかず,不明熱として経過観察されていた。2000年10月,炎症所見と全身症状の増悪,貧血の進行,皮疹が増大,増数するため当科受診。背部の皮疹の存在と,腋窩リンパ節の生検でポリクローナルな形質細胞の増殖と高インターロイキン(IL)-6血症を認めたことより,systemic plasmacytosis(SP)と診断。現在,プレドニゾロンの中等量全身投与を行っているが,解熱し,CRPがやや減少した程度で,著明な効果はない。今後,ヒト型化抗IL-6レセプター抗体投与を検討中である。SPは特徴的な皮疹と全身性のリンパ節腫脹が特徴で,内科領域ではCastleman’s disease(CD)といわれ,リンパ節腫大の多発するmulticentric CDと近縁な疾患と思われる。

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© 2001 日本皮膚科学会西部支部
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