西日本皮膚科
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症例
一過性にSLE様症候を呈したHuman Parvovirus B19感染症
近澤 真紀池田 光徳小玉 肇
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2001 年 63 巻 5 号 p. 534-538

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抄録

35歳の女性。発熱,倦怠感および関節痛に続き,大豆大までの浸潤を触れる小型の紅斑が体幹を中心に散在性に多発し,紫斑も混在していた。両頬部には淡いびまん性紅斑を認めた。抗核抗体は陰性であったが,白血球減少,リンパ球減少,血小板減少および補体低下を認めた。病理組織および免疫組織化学所見では,SLEの所見は認められなかった。血中に異型リンパ球が出現し,抗HPV B19 IgM抗体が陽性であった。HPV B19感染症と診断し,対症治療のみを行ったところ,全ての異常所見は3週間後には消失した。既往歴で,発熱,関節痛,白血球減少,補体低下,抗核抗体陽性などの所見を伴う多形滲出性紅斑の出現が数回みられており,今回も,抗核抗体は陰性であったが,同様の異常所見を認めた。HPV B19感染が自己免疫疾患様の症状を示すことが注目されているが,自験例はHPV B19感染その他の誘因に対して,一過性にSLE様の応答を示す素因を有すると考えた。

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© 2001 日本皮膚科学会西部支部
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