2001 年 63 巻 6 号 p. 609-612
症例:52歳,女性。1996年6月に当科にて全身性強皮症diffuse typeと診断され,以後外来にて加療していた。皮膚硬化は急速に進行したが間質性肺炎は軽度であり,消化管病変も認めなかった。1999年1月に動悸,胸部不快感が出現した。3月24日持続性心室頻拍にて緊急入院となった。心機能検査を行い,心室頻拍の原因疾患として最も多い虚血性心疾患やその他の心筋疾患は除外され,全身性強皮症の心病変と診断された。入院後も心室頻拍を繰り返し,種々の抗不整脈薬に抵抗性であったため,植え込み型除細動器の装着を予定していたが突然の心停止により死亡した。心室性不整脈は抗不整脈薬でのコントロールが難しい症例があり,突然死となる可能性があるため,特に早期の発見と治療が必要であると考えられた。