2001 年 63 巻 6 号 p. 635-637
症例は50歳,女性,主婦。28歳頃よりSLEでプレドニゾロン内服中。皮膚病変は右手背に生じた潰瘍と右足背の紅斑浸潤局面。病理組織検査で巨細胞を混ずる肉芽腫性炎症像を認め,培養でMycobacterium kansasiiを分離した。またその4ヵ月前より,胸部レントゲン検査にて浸潤像を認め肺穿刺術にて皮膚と同種の菌が分離されており,肺病変が原発であると推察した。肺および皮膚病変ともイソニアジド内服により約7ヵ月で治癒した。日本では本菌による皮膚非結核性抗酸菌症はこれまで11例の報告があり,7例に膠原病やAIDSなどの何らかの基礎疾患が認められ,全身播種型は11例中4例であった。