西日本皮膚科
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症例
Lymphomatoid Papulosisを併発した皮膚Anaplastic Large Cell Lymphoma
野尻 万紀子吾妻 靖子玉田 康彦松本 義也横井 太紀雄原 一夫
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2002 年 64 巻 1 号 p. 41-44

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抄録

20歳の男性。2000年1月頃左肩の紅色皮疹に気付いた。2月初旬から腹部にも皮疹が出現し,拡大してきたため同年3月2日に愛知医科大学付属病院皮膚科を受診した。初診時,下腹部正中部に45×40mm,表面にびらんを伴った鮮紅色の隆起性腫瘤を認めた。病理組織学的には,皮膚真皮に類円形の大型異型細胞が核分裂を伴ってびまん性に浸潤増殖し,巨細胞も混在した。免疫組織染色では腫瘍細胞はCD30に陽性, EMAが一部陽性, CD3, CD4, CD45 ROでも陽性でT cell表現型を示した。p80の検討ではその発現を認めなかった。末梢血,血液生化学ともに異常所見はみられなかった。また,骨髄検査でも異型細胞を認めなかった。全身検索の結果,リンパ節および遠隔臓器への転移は認められなかった。以上より本症例を皮膚原発,CD30陽性anaplastic large cell lymphomaと診断,腫瘍を全切除した。その後,右大腿部と後頚部にそれぞれ9×7mmと直径6mmの紅色丘疹が出現した。病理組織学的に真皮上層から下層にかけて結節性に大型異型細胞をまじえたリンパ球,組織球浸潤がみられ,好中球や好酸球が混在した。免疫組織染色では大型異型細胞がCD30陽性であった。臨床像と合わせてlymphomatoid papulosis type Aと診断し,これを伴ったanaplastic large cell lymphomaと考えた。

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© 2002 日本皮膚科学会西部支部
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