西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
類天疱瘡治癒部位に生じた黒色表皮腫様皮疹
—5例の報告と文献的考察—
近藤 正孝加倉井 真樹平賀 剛臼井 恵太郎清澤 智晴中川 秀己出光 俊郎
著者情報
ジャーナル 認証あり

2002 年 64 巻 2 号 p. 182-186

詳細
抄録

類天疱瘡に治癒後に生じた黒色表皮腫様皮疹についてはこれまでほとんど注目されてない。当教室で経験した類天疱瘡治癒後に生じた黒色表皮腫様皮疹について検討した。対象は5例で,すべて女性,全例に全身に水疱が多発,組織所見で表皮下水疱を認め,直接及び間接蛍光抗体法によって類天疱瘡と診断した。5例とも水疱の新生はステロイド内服療法により止まった。四肢とくに手背及び足背の水庖が治癒した後に鶏卵大までの褐色から黒褐色の黒色表皮腫様皮疹が認められた。組織学的には正角化を伴う角質増殖に加えて表皮の肥厚と乳頭腫症がみられ,メラニンの滴落と血管周囲性炎症細胞浸潤を認めた。免疫組織化学的検索ではヒト乳頭腫ウイルスは陰性であった。これらの皮疹は数週間後に自然軽快した。

著者関連情報
© 2002 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top