2002 年 64 巻 2 号 p. 200-202
74歳男性。1999年4月に肺扁平上皮癌を指摘され,放射線療法,化学療法併用により部分寛解となった。その経過中に吐血し,内視鏡にて胃癌を指摘され,1999年8月胃全摘術を施行された。2000年3月当科初診時は,ほぼ腹壁全体に紅色調の板状硬結が認められた。組織学的には真皮から皮下脂肪組織にわたりびまん性に,印環細胞を混ずる腫瘍細胞の浸潤が認められた。リンパ管の拡張,及びリンパ管内腫瘍塞栓像は認めなかった。腹部CTでは肝転移およびリンパ節転移の所見は認められなかったが,広い範囲に癌性腹膜炎の所見が認められた。転移の経路として血行性,リンパ行性の経路よりも広範囲な癌性腹膜炎からの直接浸潤が推察された。