西日本皮膚科
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症例
遺伝子組換え型ヒトインターロイキン-2による著明な好酸球増多
古田 淳一梅林 芳弘
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2002 年 64 巻 3 号 p. 311-314

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抄録

79歳の男性。左下腿の腫瘤を主訴に受診。組織は典型的な血管肉腫の像を示し,MRIでは左大腿筋層内に5個の腫瘤を認めた。下腿腫瘤は全摘植皮,大腿筋内腫瘤に対し放射線照射を行った。更に遺伝子組換え型ヒトインターロイキン-2(rIL-2)の経静脈投与を40万単位/日より開始した。投与開始10日目からは80万単位/日に増量したところ,投与開始25日目には好酸球68%(絶対数9452/μl)と著明な好酸球増多を来した。このときIL-5 15.6pg/ml, eosinophil cationic protein(ECP) 77.2μg/lと高値を示したが,IL-4は正常範囲内だった。rIL-2の減量中止により好酸球数,IL-5, ECPは正常化した。IgEは明らかな変化がなかった。これらのことから,rIL-2による好酸球増多はIL-5産生亢進を介すること,IL-5を産生する細胞はrIL-2の刺激に対してはIL-4を産生しない細胞であること,が示唆された。

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© 2002 日本皮膚科学会西部支部
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