西日本皮膚科
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治療
久留米大学皮膚科におけるプロトピック®軟膏の使用経験
 
井上 光世安元 慎一郎名嘉眞 武国森 理橋本 隆
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2002 年 64 巻 6 号 p. 758-762

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抄録

久留米大学病院皮膚科でアトピー性皮膚炎に対しタクロリムス軟膏(プロトピック®軟膏)を使用した症例で経過を評価しえた101症例について,効果と副作用を集計するとともに,特に皮疹軽快後の維持療法,中止後の経過について調査検討した。その結果,顔面に使用した例では全体でやや有効以上が93%で,副作用の認められた41%のうち局所刺激感が30%と最も多く,重篤な副作用は少なかったが,注意を要するものとしてカポジ水痘様発疹症が5例(5%)に出現した。症状消失後は,軽症例では皮疹再燃時に使用を再開するよう指導した上で外用中止した5例全例が経過良好であった。中等症ないし重症例では,症状が消失した後も外用中止すると2ないし3日後に再燃の見られた例が多く,2ないし3日に1回の外用に減量してほぼ皮疹のコントロール可能で,症状の増悪した時に適宜外用回数を戻す方式で対応できた。しかし,1日1回外用への減量から様子をみながら数週間ないし数ヵ月に一度外用間隔をみなおして徐々に減らしていく方法をとった群が,14例全例に再燃がなく維持ないしさらに減量可能であり,患者のコンプライアンスの低下しない選択肢であると思われた。

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© 2002 日本皮膚科学会西部支部
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