西日本皮膚科
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症例
尋常性乾癬の治療経過中に多発性皮膚悪性腫瘍を生じた1例
後藤 多佳子西原 雄之介柴田 智子行徳 隆裕師井 洋一占部 和敬古賀 哲也古江 増隆
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2003 年 65 巻 1 号 p. 25-29

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抄録

54歳の男性。1965年に尋常性乾癬を発症し,1970年と1972年にゲッカーマン療法を受けた。その後光線療法は受けていないが,1985年頃より四肢,顔面,頭部にボーエン病,基底細胞癌が次々と多発し,2001年,右耳前部に生じた結節は有棘細胞癌であった。本症例では放射線治療や砒素摂取,シクロスポリン投与などの既往はなく,発癌危険因子としては過去におけるゲッカーマン療法以外には日常生活での大量の日光曝露(戸外でのランニング)があげられる。皮膚悪性腫瘍発生部位が露光部位にほぼ限局されていることも考え併せると,尋常性乾癬患者において過去のゲッカーマン療法に加え自然紫外線が皮膚発癌に大きく関与した症例と考えられた。

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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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