西日本皮膚科
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症例
ミノサイクリンが無効であったMycobacterium marinumによる非結核性抗酸菌症の1例
東 佳織山口 隆広清水 昭彦久保田 由美子桐生 美麿中山 樹一郎
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2003 年 65 巻 2 号 p. 162-164

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抄録

熱帯魚飼育歴のある55歳男性の上肢に生じたMycobacterium marinum(以下M. marinum)感染症の1例を報告した。水道工事中に右III·V指に擦過傷を生じ,2週後同部に発赤,腫脹,右前腕に数個の紅色丘疹,上腕内側に小結節が出現。抗生剤,鎮痛剤投与を受けるも,結節が増大してきたため,2001年1月27日当科受診。熱帯魚飼育歴があったことよりM. marinum感染症を疑い,ミノサイクリンおよびニューキノロン系抗菌剤を投与するも,結節はリンパ行性に増加した。右前腕内側紅色結節の生検では,真皮から皮下組織にかけて膿瘍と肉芽腫形成を認めた。組織片の28℃での小川培地培養では10日間で黄白色のS型集落を形成。DNA-DNA hybridization法でM. marinumが同定された。薬剤感受性のみられたリファンピシン,エタンブトールの投与に変更したところ,約2ヵ月で皮疹は縮小し,6ヵ月で消退した。

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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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