2003 年 65 巻 3 号 p. 219-222
1歳4ヵ月,女児。初診の2ヵ月前より四肢および体幹に痒みを伴わない米粒大の紅色小丘疹が多発し,一部には痂皮が付着していた。発熱はなく,咽頭痛,リンパ節腫脹ともに認めなかった。左腋窩部の皮疹を生検,表皮細胞の空胞変性と表皮内のexocytosisを認め,真皮上·中層には血管周囲にリンパ球浸潤と少数の赤血球の血管外漏出がみられた。以上より急性苔癬状痘瘡状粃糠疹(pityriasis lichenoides et varioliformis acuta: 以下PLEVAと略す)と診断した。治療はステロイド外用,抗生剤内服を試みたが皮疹は消失せず,発症後約1年を経過してもなお消退,再燃を繰り返していた。このため0.1%タクロリムス含有軟膏の外用を試みたところ皮疹は急速に軽快した。PLEVAは比較的若年者に多くみられるが1歳児に発症した例は稀と考えた。小児例では副作用を考慮すると治療の選択の幅が狭くなるが,0.1%タクロリムス含有軟膏の外用は有効であったと考え報告した。