西日本皮膚科
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症例
爪床に生じたBowen病の1例
斎藤 万寿吉加藤 雪彦大井 綱郎古賀 道之
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2003 年 65 巻 3 号 p. 254-257

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抄録

57歳,男性。土木作業員。初診の約4年前,左第5趾爪部に外傷を受ける。その後同部位に発赤と腫脹を繰り返していた。入院時,左第5趾の爪甲は認められず,同部に潰瘍を認め,潰瘍底には凹凸を認めた。臨床的にSCCを疑い,またMRI所見にて骨皮質への浸潤を認めたため,第5趾中足指節関節離断術を施行。組織学的には大小不同の不整形の核,核分裂像,個細胞角化が認められたが基底膜は保たれBowen病と診断した。Bowen病,Bowen癌は決して珍しい疾患ではないが,その発生部位として爪床,爪周囲,特に足趾に生じたものは稀である。爪床,爪用囲に生じたBowen病,Bowen癌の過去の本邦報告例28例と併せて検討したところ,手指発生例では第3指,第2指,第4指の順に多く,足趾では,第1趾に最も多く,第5趾に生じたのは自験例のみであった。個々の指における発生頻度は手指足趾の形態的な長さに準じており,外傷などの外的な要因の影響を受けやすいためと考えた。

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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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