西日本皮膚科
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症例
外陰部に生じた基底細胞癌の1例
武居 公子安里 豊具志 真希子平良 清人上原 啓志上里 博野中 薫雄
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2003 年 65 巻 3 号 p. 258-261

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抄録

58歳,女性。2000年3月上旬,外陰ヘルペスのため近医産婦人科を受診したところ,左外陰部の黒色腫瘤を指摘され,当院産婦人科を経て当科入院となった。放射線や砒素等の曝露の既往なし。左外陰部に黒色扁平腫瘤を認めた。臨床所見より基底細胞癌を考え,全切除した。HE染色標本より基底細胞癌と診断したが,腫瘍は一部に毛包との連続性がみられたため,毛芽腫との鑑別も要すると考え,補助検査としてサイトケラチンによる免疫染色を行ったところ,サイトケラチン17に陽性,サイトケラチン8に陰性であった。H.E.染色所見に免疫組織染色所見を補助として外陰部発生の基底細胞癌と確定診断した。基底細胞癌は紫外線が発癌の主要な発生要因のひとつであると考えられている。しかし非露光部である外陰部の基底細胞癌は稀であり,発生要因として紫外線の関与は否定的である。文献上,基底細胞癌からHPVを検出したとの報告があったため,その発生要因を明らかにする目的でHPVの検出を試みたが陰性であり,本症の発症に外陰ヘルペスを含む局所の慢性刺激が関与する可能性を考えた。

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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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