65 巻 (2003) 4 号 p. 324-328
症例1は78歳男性。10数年前より体幹,四肢にかゆみを伴う小結節が,3ヵ月前より緊満性水疱が出現。病理組織学的に水疱は水疱性類天疱瘡(以下BP),小結節は結節性痒疹と診断。水疱,結節性痒疹部ともに蛍光抗体直接法で基底膜部にIgGとC3が沈着。蛍光抗体間接法ではIgG抗基底膜抗体160倍以上陽性。230kDの類天疱瘡抗原(BP230)に対する抗体が陽性。PSL30mg/日内服で軽快。症例2は77歳女性。5,6年前よりかゆみを伴う小結節が出現し,2ヵ月前より全身に拡大。下肢には緊満性水疱も出現。病理組織学的に表皮下水疱はBP,小結節は結節性痒疹と診断。水疱,結節性痒疹部ともに基底膜部にIgG,C3が沈着,抗基底膜抗体が160倍以上,BP230,180kDの類天疱瘡抗原(BP 180)に対する抗体が陽性。PSL 30mg/日内服で水疱は消失したが,その後も結節性痒疹は残存している。これまでのpemphigoid nodularisの報告を検討すると,結節性痒疹が先行し,後にBPが出現するものが典型的と考えられ,pemphigoid nodularisの診断は長い経過の中で結節性痒疹とBPの両者が出現するという臨床症状と,基底膜部への免疫グロブリンの沈着が重要である。結節性痒疹やBPの皮疹を長期間観察することによって,今後報告例が増えると予想される。近年明らかとなっているBP抗原も積極的に取り入れ,診断基準,病因,治療に関して更なる検討が必要である。