西日本皮膚科
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症例
左胸部に生じた乳房外Paget病の1例
伊藤 園子新井 圭一郎斎藤 万寿吉加藤 雪彦大井 綱郎古賀 道之
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2003 年 65 巻 4 号 p. 343-346

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抄録

乳房外Paget病(extramammary Paget’s disease(EMPD)は中高年以上に多く発症し,通常アポクリン腺の豊富な外陰部,肛門部,腋窩に好発するが,稀にそれらの部位以外にも生じることが知られている。今回,66歳男性の左胸部に手拳大の病巣を生じた例を経験した。境界鮮明な淡紅褐色斑であり,中央に色調の濃い部分を認めたが組織学的にはいずれも表皮内に胞体の明るいPaget細胞が増殖していた。全摘植皮術を行ったが,全切除標本内に乳管·乳腺組織およびこれらの癌病巣(乳癌病巣)を認めなかった。術後2年の現在,再発,転移を認めていない。外陰,肛囲,腋窩以外の部位に生じたEMPD症例は本邦では自験例を含めて20例の報告がある。自験例は,表皮内の多分化能細胞または異所性のアポクリン腺由来であると考えられる。

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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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