西日本皮膚科
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症例
ミノサイクリンが有効と思われたAcquired Reactive Perforating Collagenosis
—糖尿病性腎症で透析中の患者にみられた2例—
高倉 桃子佐々木 哲雄掛水 夏恵山川 有子長谷 哲男池澤 善郎
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2003 年 65 巻 6 号 p. 558-562

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抄録

症例1: 69歳女性。糖尿病性腎症にて血液透析施行中。透析導入4年後よりそう痒性皮疹が出現し,ステロイド局注や冷凍凝固療法を施行されたが,難治性のため当科初診。背部から両側腹部にかけて,中央部に壊死を伴う拇指頭大までの痒疹を認め,一部周囲に発赤を伴う部分を認めた。ケブネル現象陽性。病理組織学的に毛包と連続する経表皮的排出像を認めacquired reactive perforating collagenosis(ARPC)と診断した。ミノサイクリン1日200mg内服を開始し,3週間後にそう痒が軽快し,皮疹も色素沈着を残し軽快した。症例2: 66歳男性。糖尿病性腎症にて血液透析中。透析導入7年後より症例1と同様の皮疹を背部に認め,病理組織学的にもARPCと診断した。ミノサイクリン1日200mg内服を開始し,皮疹は軽快した。ARPCにミノサイクリンが有効であるという報告はこれまでみられていないが,ミノサイクリンの多彩な作用機序からも今後試みる価値のある治療法と思われる。

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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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