2004 年 66 巻 2 号 p. 128-131
53歳, 女性。D-ペニシラミンの内服開始1年4カ月後, 肉眼的には落葉状天疱瘡, 病理組織学的には尋常性天疱瘡の所見を示す皮疹を生じた。免疫ブロット法で, デスモグレイン (Dsg)-1抗体が証明されたが, Dsg-3抗体は認められなかった。ELISA法では, Dsg-1およびDsg-3抗体ともに陽性だった。内服中止後も水疱の新生は続いた。プレドニゾロンの内服減量中に水疱が再燃した際には, Dsg-3抗体は陰性化していたがDsg-1抗体は陽性であったことから, Dsg-3抗体は薬剤によって修飾されたDsg-3に対する抗体であり, Dsg-1抗体は持続的に産生されていると考えた。抗核抗体と抗細胞質抗体が陽性であったことから, 自己抗体を産生しやすい素因があると考えた。水疱蓋および水疱内の多くの棘融解細胞が変性していたことも特徴であった。