西日本皮膚科
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症例
Trichophyton tonsuransによる頭部白癬の4例
―柔道部およびレスリング部における集団検診とその対策―
小笠原 弓恵武藤 正彦出口 弘隆安野 秀敏小笠原 万里枝
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2004 年 66 巻 3 号 p. 255-260

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抄録

中学・大学柔道部および高等学校レスリング部員に生じたTrichophyton (以下T.) tonsuransによる頭部白癬の4例を経験した。症例1 : 13歳, 男, 福岡県内中学校柔道部員。初診は2002年10月5日。症例2 : 17歳, 男, 山口県内高等学校レスリング部員。初診は2003年5月26日。症例3 : 13歳, 男, 福岡県内中学校柔道部員。初診は2003年6月23日。症例4 : 19歳, 男, 山口県内大学柔道部員。初診は2003年8月8日。4症例いずれも初診の1~3カ月前より頭部にそう痒を伴う落屑性脱毛斑を認め, 初診時には毛包炎を伴う浸潤性紅斑あるいは紅色結節を認めた。KOH直接鏡検にて, 毛内性大胞子菌性寄生を認め, 真菌培養でT. tonsuransを分離した。症例2および症例4の所属部内で, hairbrush法を用いた集団検診を行ったところ, それぞれ4/17人 (23.5%), 9/58 (15.5%) が陽性であった。本菌による頭部白癬は, 感染初期は自覚症状および臨床症状が軽微であることから診断が困難で, これらの症例が部内の感染源となっていると推察された。今後hairbrush法などを用いた簡易調査法による集団検診とその対策を確立させることが急務である。

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© 2004 日本皮膚科学会西部支部
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