西日本皮膚科
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症例
同種末梢血幹細胞移植後の慢性GVHDに水疱性類天疱瘡を合併し, TEN様の皮疹を呈した1例
永井 寛白方 裕司緑川 和重村上 信司橋本 公二駒井 礼子橋本 隆成見 弘藤田 繁
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2004 年 66 巻 3 号 p. 269-273

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抄録

40歳, 男性。1999年7月 (38歳時), 発熱, リンパ節腫脹が出現, 骨髄異形成症候群と診断され, 同年8月同種末梢血幹細胞移植を受けた。移植3週間後より発熱, 肝酵素の上昇, 貧血, 紅斑等が出現, graft versus host disease (GVHD) と診断され, プレドニゾロン 50mg/day, シクロスポリン 300mg/dayの投与にて治療を受けていた。2000年12月, 大腿骨骨頭壊死を併発し, 手術に備えて12月21日よりシクロスポリンを中止し, プレドニゾロンを減量したところ, 2001年1月初めより体幹に紅斑・皮膚剥脱・ニコルスキー現象を認めるようになり, さらに全身に緊満性水疱が出現した。水疱部の組織所見では, 表皮下水疱を認め, 真皮内では密なリンパ球を中心とした細胞浸潤を認めた。免疫蛍光直接法では表皮真皮境界部にIgGとC3の線状沈着が認められ, 免疫蛍光間接法ではIgGクラスの抗基底膜部抗体が160倍まで陽性であった。以上の所見より, 慢性GVHDに合併した水疱性類天疱瘡と診断した。プレドニゾロンの増量・シクロスポリン投与では水疱の新生は抑えられず, ミノサイクリン・ニコチン酸アミドの追加投与にて水疱の新生は認めなくなった。プレドニゾロンを漸減し30mg/dayになった時点で敗血症を合併し, 2001年5月13日永眠された。

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© 2004 日本皮膚科学会西部支部
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