西日本皮膚科
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症例
糖尿病性ケトアシドーシスに合併した色素性痒疹の1例
井上 卓也三浦 由宏
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2005 年 67 巻 1 号 p. 11-14

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抄録

19歳の男性。1週間前からの食欲不振と嘔気を主訴に来院し,糖尿病性ケトアシドーシスと診断された。嘔気が出現した同じ時期より,上背部,腰部などにそう痒を伴う紅色丘疹が多発してきた。皮疹は網目状の色素沈着を伴っていた。病理組織学的所見では,真皮上層の血管周囲性の炎症細胞浸潤と軽度の液状変性を認め,苔癬様組織反応に相当する所見と考えた。以上より,色素性痒疹と診断した。インスリン療法によりケトーシスは改善したが,そう痒と皮疹が残存したため,ミノサイクリン療法を開始したところ,軽快した。今回,糖尿病と関連した色素性痒疹の本邦論文報告例を検討し,ケトーシスと皮膚症状との関連について,文献的考察を加え報告した。

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© 2005 日本皮膚科学会西部支部
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