2005 年 67 巻 2 号 p. 109-112
Pasini-Pierini型進行性特発性皮膚萎縮症(APP)と線状強皮症の病変が同一患者にみられた31歳,女性例を報告する。14歳頃に躯幹と左上肢に褐色斑を生じ放置していたが,左前腕にしびれを生じたため来院した。躯幹の褐色斑は周囲より境界鮮明に浅く陥凹し,組織学的に真皮の菲薄化を認め,弾性線維に異常を認めずAPPと診断した。一方,左上肢の褐色斑は手背~手関節にかけて表面に光沢を伴い,筋萎縮も伴った萎縮性局面であり,線状強皮症に一致する特徴を呈した。自験例はAPPと線状強皮症が近縁疾患であるという説を支持する症例と思われた。