2005 年 67 巻 3 号 p. 229-232
74歳,女性。左大腿部に30×25mmの類円形扁平腫瘤があり,中心部は潰瘍化していた。潰瘍部および局面辺縁には,一部正常皮膚色から黒褐色調の丘疹を認めた。この原発部位を切除するとともに左鼠径部センチネルリンパ節生検を行った。病理組織学的に,腫瘍細胞は表皮内かつ真皮全層に増殖し,澄明細胞から大型でbizarreな核を有する細胞まで種々の形態を示した。また,センチネルリンパ節にも腫瘍細胞を認めた。免疫組織学的に腫瘍細胞はCEA,EMAに陽性で,細胞質内にはCEA陽性小管腔様構造も認めた。以上より,左鼠径部リンパ節転移を伴ったeccrine porocarcinomaと診断し,左鼠径部リンパ節郭清術を追加した。ケラチン染色ではCK 5/8,CK 7,CK 8/18が陽性であり,主として本腫瘍細胞は真皮内汗管への分化を示すものと推定された。