西日本皮膚科
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症例
口唇の水疱,びらんより発症した全身性エリテマトーデスの1例
原 肇秀濱崎 洋一郎清水 和宏佐藤 伸一雨森 美里
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ジャーナル 認証あり

2005 年 67 巻 4 号 p. 329-333

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抄録

40歳,女性。約3ヵ月前より,下口唇のびらん,水疱が出現。手背,胸背部の露光部にも拡大した。初診時,下口唇赤唇部の腫脹,浸軟,口腔内アフタ,および露光部の散在する浸潤性紅斑を認めた。口唇部の病理組織像は苔癬型組織反応で液状変性を示し,蛍光抗体直接法で表皮真皮境界部にC3の微細顆粒状沈着を認めた。抗核抗体640倍(speckled pattern),抗U1-RNP抗体,抗Sm抗体陽性であった。以上の所見から,全身性エリテマトーデスと診断。Split skinを用いた蛍光抗体間接法では陰性で,抗基底膜部抗体は検出されず,Camisa&Sharmaの水疱性エリテマトーデス1型に分類した。UVBの最小紅斑量は正常範囲であったが,UVB反複照射および大量照射で遷延する円板状エリテマトーデス様皮疹が誘発された。誘発皮疹部は手背類似の病理組織像を示し,病態形成に日光曝露の関与が示唆された。遮光にて皮疹は軽快傾向にある。

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© 2005 日本皮膚科学会西部支部
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