西日本皮膚科
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症例
固定薬疹の色素沈着に関する肥満細胞の役割
松本 真明松本 喜美池田 光徳小玉 肇
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2005 年 67 巻 5 号 p. 490-494

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抄録

53歳,女性。下顎では色素沈着を残し,下腿では色素沈着を残さない固定薬疹が繰り返し出現した。パッチテスト(皮疹部および無疹部)およびスクラッチパッチテスト(無疹部)は陰性。ミノサイクリン5mg投与による内服誘発テストでは,下顎と下腿に皮疹が再燃し,前額にも紅斑が新生した。病理組織像では下腿に比べ下顎の真皮にメラノファージが著明に多く認められた。免疫組織化学では,トリプターゼ陽性肥満細胞が下腿と比較して下顎の特に真皮乳頭層において有意に多く認められた。肥満細胞由来のケミカルメディエーターやサイトカインが,メラノサイトのメラニン合成やメラニンのケラチノサイトへの輸送を促進することも色素沈着を増強させる因子であると考えた。

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© 2005 日本皮膚科学会西部支部
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