西日本皮膚科
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症例
皮膚筋炎の治療中にサイトメガロウイルス感染症を生じた2例
橋本 彰奥山 隆平長谷川 聡渡辺 洋藤村 卓木村 裕田上 八朗相場 節也
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2006 年 68 巻 3 号 p. 251-255

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抄録

皮膚筋炎では日和見感染を合併することが多く,サイトメガロウイルスなどのウイルス,カンジタなどの真菌,さらにカリニなどの病原微生物が感染の原因となることが多い。私たちは,皮膚筋炎の治療の過程でサイトメガロウイルス感染症を合併した症例を2例経験した。症例1:67歳,女性。顔面,四肢,体幹に広がる紅斑と筋肉痛のため,2002年11月に当科を受診した。皮膚筋炎と診断され当初,副腎皮質ホルモンを用いて治療されたが,症状は容易に軽快しなかった。そのためシクロホスファミドを追加したが,2003年2月に肺炎が生じサイトメガロウイルスとアスペルギルスが検出された。ガンシクロビル,ガンマグロブリンを投与したが,全身症状が悪化し3月に永眠された。剖検で肺にサイトメガロウイルスの感染が認められた。症例2:72歳,女性。顔面,体幹に広がる紅斑と筋肉痛のため,2004年11月に当科を受診した。皮膚筋炎と診断され,治療のため副腎皮質ホルモンが投与された。皮疹と筋肉痛は順調に軽快し,プレドニゾロンは35mg/日まで減量されたが,突然発熱と肝機能障害が出現した。サイトメガロウイルス血症を呈したのでガンシクロビルが投与され,2週間後発熱と肝機能障害は軽快傾向を呈し順調に軽快している。いずれの症例も症状を注意深く診察し適切な検査と投薬を行うことが,皮膚筋炎での日和見感染に対応する上で重要であった。

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© 2006 日本皮膚科学会西部支部
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