西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
Mucoepidermoid Carcinomaの1例
渡邉 理枝内田 隆夫秋山 正基末木 博彦飯島 正文門松 香一
著者情報
ジャーナル 認証あり

2006 年 68 巻 6 号 p. 640-643

詳細
抄録

37歳,男。17年間の喫煙歴がある。15年前上口唇に小結節が出現した。放置していたところ,2年前より徐々に増大したため近医を受診した。有棘細胞癌の疑いで生検を施行され,組織学的にmucoepidermoid carcinomaが疑われたため当科を紹介された。上口唇中央に径16mmの境界明瞭な扁平隆起性結節がみられ,中央部はびらんし黄色痂皮を付着,骨様硬に触知した。組織学的には,粘膜固有層から筋層に腫瘍塊が存在し,充実性腫瘍細胞巣および大小種々の腺腔様構造が散在していた。腫瘍細胞は,好酸性の胞体を持つ上皮細胞様細胞,偏在した核と明るい胞体を有する粘液産生細胞,その中間型細胞で構成されていた。腺腔様構造の内腔には好酸性に淡染する無構造物質を有するものもみられた。上皮細胞様細胞の一部に核異型や核分裂像が認められた。粘液産生細胞と腺腔内容物はアルシャンブルー染色で陽性,PAS染色陽性,ジアスターゼ抵抗性であった。以上より本症と診断し,腫瘍辺縁より15mm離して拡大切除し,下口唇からのAbbe皮弁術を施行した。術後2年経過しているが再発・転移はない。

著者関連情報
© 2006 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top