西日本皮膚科
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症例
ラグビー選手にみられたTrichophyton tonsurans感染症の1例
—某高校ラグビー部の集団検診も含めて—
篠田 英和関山 華子
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2006 年 68 巻 6 号 p. 648-651

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抄録

17歳,男子(発端者,ラグビー部)。左上腕内側に1.7×1.0cmの,鱗屑を伴う辺縁隆起性環状紅斑を認め,培養にてTrichophyton tonsurans(T. tonsurans)を分離した。発端者の所属するラグビー部(発端者を除く39名)の検診を行なった。頭部白癬はみられず,体部白癬2名(顔面,左頚部),頭皮のhairbrush(HB)法陽性者1名であった。体部白癬のうち1人は中学生時柔道部に所属し高校入学時ラグビー部にスカウトされた。その患者のHB法では全スパイクからT. tonsuransのコロニーが検出され,彼が感染源となり,他の部員に感染したと考えられた。ラグビー部員のT. tonsurans感染症は今まで報告がなく自験例が第一報である。ラグビーはラック,モール,スクラム,タックルなど身体を密着させるプレーがみられるため,今後T. tonsurans感染症の集団発生の可能性があり柔道やレスリングと同様注目すべきスポーツである。

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© 2006 日本皮膚科学会西部支部
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