西日本皮膚科
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治療
乾皮症を含む皮脂欠乏性湿疹に対する持続性選択ヒスタミンH1受容体拮抗薬ロラタジンの止痒効果の検討
田尻 真輔中山 樹一郎七隈ロラタジン研究会
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2006 年 68 巻 6 号 p. 683-690

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抄録

乾皮症を含む皮脂欠乏性湿疹で保湿剤治療反応不良例に対して,鎮静作用の弱い第二世代抗ヒスタミン薬であるロラタジンを用いた臨床効果を検討した。保湿剤投与1週後の「日中のかゆみ」および「夜間のかゆみ」のvisual analogue scale(VAS)スコアが投与前に比べ,50%未満の改善群を保湿剤治療反応不良群としロラタジンを追加投与した。全対象66例中保湿剤治療反応不良群は38例で,さらに主治医の判断でステロイド外用剤が追加されたステロイド剤追加群8例と非追加群30例とに分けて止痒効果をVASスコアにより検討した。ステロイド剤非追加群30例の「日中のかゆみ」のVASスコアはロラタジン追加前の35.6±25.8(mean±SD)から投与1,2,3,7週後の17.2±18.1,15.7±20.1,13.7±17.8,12.5±16.5へと有意に低下し,「夜間のかゆみ」のVASスコアもロラタジン追加前の45.0±24.2から24.3±18.3,20.7±21.7,19.2±19.7,15.1±16.3と有意に低下した。同様にステロイド剤追加群8例の「日中のかゆみ」および「夜間のかゆみ」のVASスコアも経時的に低下し投与1週後の日中を除きその低下は有意であった。更にロラタジンの臨床効果を外用ステロイド剤非追加群30例で検討したところ,有効以上が80%(24例)であった。一方,副作用として,2例(5.3%)に軽微な眠気がみられた。ロラタジンは,鎮静作用が少なく,確実な止痒効果を有することから乾皮症を含む皮脂欠乏性湿疹の薬物療法として有用であることが示唆された。

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© 2006 日本皮膚科学会西部支部
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