西日本皮膚科
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症例
多彩な経過をとった皮膚型結節性多発動脈炎
久保田 由美子古賀 佳織中山 樹一郎
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2007 年 69 巻 5 号 p. 505-510

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抄録

17歳の女性,看護学生。2005年4月頃,両下腿に暗紫色斑が,6月下旬,両足に点状出血が出現した。病理組織学的に真皮全層の血管内に血栓を認めるも好中球浸潤はなく,livedoid vasculopathy(LV)と考えた。抗核抗体80倍,MPO-ANCA(-),LAC(-),CLβ2GPI抗体(-)。その後両下腿~足の腫脹としびれ,紫斑の新生があり,病理組織学的には真皮全層の細小血管と皮下組織の小動脈に壊死性血管炎を認め皮膚アレルギー性血管炎(Ruiter)と皮膚型結節性多発動脈炎(PNC)の合併と診断した。ステロイド全身投与で紫斑は消退したが減量にて皮下結節の新生が認められた。生検では典型的なPNCの像であった。ステロイドの増量にて約2ヵ月後に皮疹の新生はなくなった。本症例はLV,Ruiter,PNCの特徴をすべて持ち,多彩な経過をとったが,全身症状はなく,両足のしびれ,livedo様皮疹,皮下組織の小動脈の壊死性血管炎を有意にとり,PNCと診断した。今後全身性の血管炎に移行する可能性もあるため十分な経過観察が必要である。

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© 2007 日本皮膚科学会西部支部
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