西日本皮膚科
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統計
マムシ咬症21症例の臨床的検討
上田 厚登御厨 賢安元 慎一郎橋本 隆
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2007 年 69 巻 5 号 p. 542-546

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抄録

公立八女総合病院皮膚科にて過去2年間(2003年4月から2005年3月まで)にマムシ咬症21例を経験した。受診患者では男女差はみられず,月別では8月,9月に多く受診した。年齢別では60歳から70歳台が多くを占め,その理由としては八女地域の住民の高齢化と農作業中の受傷によるものが多いためと思われた。時刻別発生数では午前4時から深夜までに及んでいた。受傷の状況としては田畑や自宅庭での農作業中の受傷例が多く,受傷部位は手指,次いで足趾,足背の順に多かった。天候別発生数ではいずれの天候にもみられたが,曇りの日に多い傾向があった。マムシ咬傷による入院日数は臨床症状の程度が高度になるほど延長し,統計学的有意差が認められた。治療は局所治療としてマムシ毒の排除を目的に皮下切開を行い,全身療法としてセファランチン内服療法とマムシ抗毒素投与を行った。マムシ抗毒素の使用についてはいまだ確立された見解が得られておらず,各施設間での使用率が大きく異なっている。マムシ抗毒素投与後に起こる血清病発生の集計結果では血清病が生じた全例が軽症であったため,副作用としての血清病はさほど問題にならないと考えた。マムシ抗毒素の使用は投与基準に従い,重症例では原則としてマムシ抗毒素を投与する方が望ましいと考えた。

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© 2007 日本皮膚科学会西部支部
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