西日本皮膚科
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治療
尋常性乾癬に対するシクロスポリン(ネオーラル®)1日1回食前投与の有用性
奥山 隆平小川 英作大谷 朋之小澤 麻紀相場 節也
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2007 年 69 巻 6 号 p. 670-675

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抄録

今回26名の尋常性乾癬の患者に対し,シクロスポリン短期低用量寛解導入療法を試みた。シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤であるネオーラル®を1日1回食前に2.0~2.5mg/kg/day投与した。8~12週間内服の上,その後漸減して中止し,症状の変化等治療の効果を観察した。投与12週後には62.5%の症例においてPASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコアが75%以上改善し,50%以上改善の患者を含めると寛解導入率は91.7%であった。また2例において高血圧が出現したが,顕著なクレアチニン値の上昇や肝機能障害などはみられなかった。シクロスポリンの短期低用量寛解導入療法は重篤な副作用を生ずることなく短期間で乾癬の症状を改善しえたことから,有効な投与方法であると考えた。シクロスポリン投与後,症状寛解に伴い減量し,中止した12週後の時点では14例中9例で再燃がみられたが,残り5例では再燃には到らず,経過は様々であった。今後はその違いを検討すると共に,寛解後のシクロスポリン投与方法が課題だと考えられる。

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© 2007 日本皮膚科学会西部支部
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