46歳の男性。2002年4月に頭部,背部などにそう痒を伴う紅斑,びらんを生じた。粘膜病変は認めず,落葉状天疱瘡と診断した。抗デスモグレイン1抗体優位の上昇を認めた。プレドニゾロン内服で加療し,コントロール良好であったが,2005年口腔内に難治性のびらんが出現した。この時点では皮膚症状は伴わなかった。口腔粘膜の生検組織で表皮内水疱を認め,抗デスモグレイン3抗体上昇があり,粘膜優位型の尋常性天疱瘡への移行例と考えた。臨床症状の移行は抗デスモグレイン抗体価の変化と一致しており,抗体産生が入れ替わった稀な症例と考えられた。