西日本皮膚科
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症例
Muir-Torr症候群の2例
出口 順啓原田 和俊矢ケ崎 晶子柴垣 直孝島田 眞路塚本 克彦
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ジャーナル 認証あり

2008 年 70 巻 4 号 p. 393-397

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抄録

症例1:66歳,男性。初診の半年前より左前腕と左上腕に3個の小結節が出現し,徐々に増大。病理組織学的に,1つは脂腺腫,他の2つは低悪性度脂腺癌であった。既往歴として,51歳時に背部の脂腺腫,53歳時に前胸部の脂腺腫と尿管の移行上皮癌,60歳時に臀部ケラトアカントーマ,64歳時に結腸癌があった。さらに,家族歴として父と弟に大腸癌,兄に膵臓癌,姪に子宮癌を認めた。症例2:57歳,男性。初診の2年前より前額部に小結節出現。徐々に増大し,表面にびらんを伴うようになった。切除したところ病理組織学的に脂腺腫であった。既往歴に48歳時,右尿管癌,下行結腸癌·直腸癌,56歳時左尿管癌,57歳時,膀胱癌があった。家族歴として,母が56歳時に直腸癌にて死亡。症例1は臨床経過において脂腺系腫瘍が多発しており,また両症例ともに比較的若年発症の内臓悪性腫瘍を合併していたこと,さらに家系内に内臓悪性腫瘍患者が多発していたことからこの2症例をMuir-Torr症候群と診断した。

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© 2008 日本皮膚科学会西部支部
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