2008 年 70 巻 4 号 p. 413-416
76歳, 女性。外陰部から大腿に境界明瞭な紅斑と黒褐色斑と脱色素斑の混在を認め, 紅斑上に紅色結節を認めた。結節部の病理組織所見はPaget細胞が真皮全層に浸潤していた。右鼠径リンパ節を触知し, CTでは右鼠径と右外腸骨動脈領域のリンパ節腫大を認めた。CEAは正常範囲内であった。病変境界部から2cm離して拡大切除し, 両側浅深鼠径リンパ節と右外腸骨動脈領域リンパ節郭清術を施行した。右鼠径, および右外腸骨動脈領域リンパ節にPaget細胞の浸潤を認め, Stage III(T3N1M0)と診断した。手術5ヵ月後に腹部大動脈分岐部にリンパ節転移を認めた。ドセタキセル(タキソテール®)療法を開始したところ, 3ヵ月半後(9回投与後)には画像診断上complete responseを得た。治療開始13ヵ月後の現在, 再発および転移を認めていない。