西日本皮膚科
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症例
HTLV-1キャリアに強皮症,関節リウマチ,Sjögren症候群を併発した1例
峯 嘉子山本 雄一安里 豊平良 清人真鳥 繁隆粟澤 遼子照屋 美貴上里 博
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2008 年 70 巻 6 号 p. 601-605

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抄録

67歳,女性。2007年2月手指の浮腫の増強に伴い軽度の発赤が出現したため,近医整形外科を受診し,関節リウマチが疑われプレドニゾロン5mg/日を投与された。症状の改善がなかったため2007年3月初旬ブシラミンを追加投与された。3月中旬より38度台の発熱,全身倦怠感,顔面の浮腫,全身の皮疹,口腔内疼痛が出現したため,当院皮膚科を受診した。手指,手背の皮膚生検病理組織像で膠原線維の膨化,増生が認められた。抗核抗体,リウマトイド因子,抗U1RNP抗体,抗SS-A/Ro抗体,抗CCP抗体はいずれも陽性,MMP-3は高値であった。胸部CT像で間質の肥厚,すりガラス状の陰影があり,シルマーテストとフルオレセイン試験が陽性であった。またHTLV-1抗体陽性,可溶性IL-2レセプター高値であった。以上よりHTLV-1キャリアに全身性強皮症(limited cutaneous systemic sclerosis),関節リウマチ,Sjögren症候群を合併した症例と診断した。プレドニゾロン30mg/日の内服投与を行い,症状は改善した。また,膠原病とウイルスの関連について考察した

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© 2008 日本皮膚科学会西部支部
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