西日本皮膚科
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症例
遺伝性掌蹠角化症のため肉眼的境界が不鮮明であった足底部悪性黒色腫の1例
冨田 元岩田 洋平小川 文秀佐藤 伸一穐山 雄一郎松下 泰三
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2008 年 70 巻 6 号 p. 625-629

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抄録

50歳,女性。生下時より手掌・足底に角化性局面が出現していた。不定期に近医皮膚科にて外用治療や,市販の外用薬により治療が行われ,また,頻回の削り取りを繰り返していた。初診の約2年前より左足底の黒色斑に気付くも放置していた。急速に拡大したため近医皮膚科受診し,悪性黒色腫が疑われ当科紹介となった。掌蹠角化症に合併した悪性黒色腫と診断し,第1回手術施行した後,掌蹠角化症に対してチガソン®内服開始した。掌蹠の角化の改善を認めた後に,慎重な視診によって悪性黒色腫の残存病変を見出し,追加切除を行った。掌蹠角化症に悪性黒色腫が合併した場合は術前に角化局面の改善を行い,十分な視診が必要であったと思われた。掌蹠角化症に合併した悪性黒色腫の本邦報告16例をまとめ,自験例と比較し,若干の文献的考察を加えた。

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© 2008 日本皮膚科学会西部支部
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