西日本皮膚科
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症例
肉芽腫性口唇炎の2例
大橋 則夫関東 裕美岩渕 千雅子橋本 由起岩瀬 七重伊藤 正俊
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ジャーナル 認証あり

2009 年 71 巻 2 号 p. 137-140

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抄録

症例1:38歳の男性。初診の半年前う歯の治療を受け,その頃下口唇の腫脹が出現した。病理学的に類上皮細胞肉芽腫を認め,肉芽腫性口唇炎と診断した。貼付試験ではウルシオールが陽性であった。塩酸フェキソフェナジンを投与し,10ヵ月後に略治した。症例2:31歳の男性。初診の2ヵ月前に上口唇の腫脹が出現し,歯槽膿漏の治療を受けたが症状が持続した。病理学的に類上皮細胞肉芽腫を認め,肉芽腫性口唇炎と診断した。歯には多数の金属冠が装着されており,上の前歯6本は人工歯であった。貼付試験ではニッケルとパラフェニレンジアミンが陽性であった。塩酸オロパタジンとプレドニゾロン5mg/日を投与し,1ヵ月後に症状は軽快した。歯科金属は除去できなかった。肉芽腫性口唇炎はMelkersson-Rosenthal症候群の不全型であるという考えがある。過去の報告例から両疾患を比較してみると,肉芽腫性口唇炎の方が歯科疾患や金属アレルギーなど病因または悪化因子を指摘できることが多く,また治療に対する反応も良好な例が多い傾向がみられた。

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© 2009 日本皮膚科学会西部支部
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