西日本皮膚科
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統計
西福岡病院における高齢者の疥癬の過去5年間の臨床的検討
――足に注意,高齢者の疥癬――
宮地 素子久保田 由美子松尾 美希谷川 治中山 樹一郎安藤 公英
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2009 年 71 巻 3 号 p. 306-311

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抄録

西福岡病院で経験した過去約5年間(2003年1月から2007年9月まで)の疥癬症例を報告した。症例数は25例(男 : 女=8 : 17),平均年齢81.7歳。合併症では糖尿病や認知症,高血圧が多く,既往歴は脳梗塞や癌,心筋梗塞が多かった。皮疹は略全身に認めるものから,限局した例もあった。通常疥癬が23例,角化型疥癬が2例であった。冬に診断されることが多く,ヒゼンダニ検出部位は腋窩,趾間からの検出率が高かった。感染源は病院が6例,施設が7例,病院もしくは施設が1例,自宅が1例,友人が疑われた例が1例であった。治療はイベルメクチン内服や25%安息香酸ベンジルローションやクロタミトンクリームの外用を行ったが,内服薬による副作用は認めなかった。再発は治療終了1.5ヵ月後に1例あった。高齢者の足爪白癬,皮脂欠乏性湿疹など足の皮疹をみた場合,疥癬検査は必須である。

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© 2009 日本皮膚科学会西部支部
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