西日本皮膚科
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治療
そう痒性皮膚疾患に対するエバスチンの臨床効果
――患者アンケート調査による評価――
古江 増隆
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ジャーナル 認証あり

2009 年 71 巻 3 号 p. 321-327

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抄録

第二世代抗ヒスタミン薬であるエバスチン(エバステル®)のそう痒性皮膚疾患に対する臨床効果を,患者アンケート調査により検討した。そう痒を主訴に外来受診したアトピー性皮膚炎患者24例を対象に,エバスチンを1日1回10mg,4週間投与し,エバスチン投与前後に患者アンケート調査を実施した。本試験で使用したアンケート用紙は,質問項目をランダムに配置し,多様な質問形式によるかゆみ評価が前問の思考に引きずられないように配慮し,患者の訴えを評価した。その結果,エバスチン投与によってかゆみの頻度,かゆみの程度,かゆみの強さ(VAS値)などが有意に改善し,エバスチンのかゆみ抑制効果が確認された。また,夜間のかゆみ(睡眠障害),生活の支障度などが有意に改善し,エバスチンはかゆみによって低下したQOLを全般的に改善することが示唆された。さらに,エバスチン服用後に効果が発現するまでの時間は前処方薬に比して有意に短く,作用持続時間は前処方薬と遜色のない結果であった。以上の結果から,エバスチンのかゆみに対する効果が認められただけでなく,眠気などの副作用も少なく,速効性,持続性が認められた。エバスチンはそう痒を有する患者に対し,患者満足度の高い第二世代抗ヒスタミン薬であることが示唆された。

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© 2009 日本皮膚科学会西部支部
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