2010 年 72 巻 1 号 p. 36-39
82歳,女性,インドメタシン外用が奏効した日光角化症の1例を,文献的考察を加えて報告した。インドメタシンを初めとするNSAIDsの持つシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase ; COX)阻害作用が上皮系腫瘍細胞の増殖を抑制することが分かっている。症例では約2ヵ月間のインドメタシン外用により,臨床的にも病理組織学的にも,明らかな日光角化症の所見を認めなくなったばかりでなく,8ヵ月を経過した現在も再発を認めていない。また,免疫組織学的に,p53陽性細胞数は治療前後で有意な変化は認めなかったが,Ki-67陽性細胞数に関しては治療前に比し治療後の減少を認めた。経過中,5-FU軟膏外用時にみられるような,皮膚びらんや潰瘍形成などの副作用もなかった。インドメタシン外用は,日光角化症に対する,新規の有用な外用治療法と考えられた。