西日本皮膚科
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治療
尋常性乾癬に対するカルシポトリオール軟膏およびベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏による外用連続療法の有用性
窪田 泰夫森上 徹也中井 浩三横井 郁美藤田 名都子宗広 明日香森上 純子米田 耕造
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2010 年 72 巻 2 号 p. 163-168

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抄録

尋常性乾癬患者19例を対象に,カルシポトリオール軟膏(ドボネックス® 軟膏50μ/g)とベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏(アンテベート® 軟膏0.05%)を用いた9週間の外用連続療法を実施し,その臨床的有用性をPASIとVASスコア,患者QOLにより評価した。外用連続療法の導入期では両剤を1日2回併用塗布し,続く移行期では平日はカルシポトリオール軟膏のみを,土・日は両剤を1日2回併用した。維持期ではカルシポトリオール軟膏の単独塗布を行った。皮膚症状の評価はPASIスコアから顔面,頭部を除いた準PASIスコアと患者によるVAS評価を併用した。QOL評価はDermatology Life Quality Index(DLQI日本語版)を用いた。その結果,治療開始時20.2であった準PASIスコア平均値は導入終了時には8.1となり60%の低下を示し(p<0.01),その後も経時的に減少して,観察終了時には4.4に低下した(baselineから78%の低下,p<0.01)。また,治療開始時9.2であったDLQI合計スコアは観察終了時には3.1となり(p<0.01),下位尺度のうち「症状・感情」,「日常生活」,「余暇」での改善が顕著であった(p<0.01)。副作用については局所の刺激感,血清Ca値の異常変動などは認められなかった。尋常性乾癬に対する今回の外用連続療法は,皮膚症状を速やかに改善すると共にその後の寛解維持も良好で,主に精神面,生活および行動面での患者QOLの改善をもたらすことが示唆された。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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