西日本皮膚科
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症例
DICおよび呼吸不全を呈した日本紅斑熱の1例
新原 寛之水本 一生森田 栄伸峠岡 康幸田原 研司
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2010 年 72 巻 3 号 p. 220-224

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抄録

65歳,女性。初診5日前に特に誘因なく39.8℃の発熱,頭痛,腰痛,四肢の関節痛が出現した。全身倦怠感と嘔気を認めるようになったので,当院救急外来受診し,当科を紹介された。顔面以外のほぼ全身に粟粒大から米粒大の紅斑を伴う丘疹が散在していた。異型麻疹疑いにて外来で補液にて経過観察していたが,炎症反応の増悪,DICの徴候を認めたため,入院の上抗生剤全身投与を行った。入院翌日には呼吸不全を生じ,CTにて肺炎像を認めたため,重症感染症に合併した急性呼吸促迫症候群(ARDS)に移行しうる病態と判断し,ステロイド,グロブリン製剤を併用投与した。臨床症状は速やかに改善し,検査所見も徐々に改善した。入院時,右肩に自覚を伴わない約5mmの痂皮を認めたため,紅斑熱群リケッチア浸淫地域の立ち入りの既往はなかったものの,つつが虫病,日本紅斑熱を疑い,全血,痂皮を検査に提出した。PCR法にて痂皮からRickettsia japonicaと100%相同した遺伝子断片(17 K genus-common antigen gene)が検出された。また,ペア血清で紅斑熱群リケッチアに対する有意な抗体上昇がみられた。よって,本例をDICおよび呼吸不全を呈した日本紅斑熱と診断した。日本紅斑熱は近年増加傾向にあり,治療の遅れで重症化しうることから感染症の啓蒙が必要であると考えた。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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