2010 年 72 巻 3 号 p. 240-245
平成20年5月から12月にかけて,九州大学病院皮膚科と関連病院皮膚科に通院中の,そう痒性皮膚疾患を有する患者107例(平均年齢は52.1±19.0歳,男女比=45 : 62)を対象として,少なくとも1 週間のベシル酸べポスタチン投与後に,そう痒の改善と日中の眠気,夜間の睡眠,服用に適した錠剤の色と形状,満足度などについてアンケート調査を行った。日中のそう痒の改善は全体で88.6%,夜間のそう痒の改善は89.5%で,疾患別にみると蕁麻疹群(日中 : 94.3%,夜間 : 97.1%)は湿疹・皮膚炎群(日中 : 87.2%,夜間 : 89.4%)に比べて有意に改善していた(P<0.05)。日中の眠気は全体の13.2%にみられたが,「眠気あり」群でもそう痒の改善は92.9%と高く,64.3%が処方の継続を希望した。また,全体の27.2%で入眠までの時間が短縮された。薬剤の形状は全体の78.3%が小さい丸い形を希望し,色に関しては特に嗜好はみられなかった。別の抗ヒスタミン薬の「前薬あり」群でも,「前薬なし」群と同様,日中・夜間のそう痒はともに大きな改善がみられたが,改善度は「前薬なし」群の方が有意に高かった。群間に有意差の処方継続希望は79.4%であり,本薬剤の高い有用性と満足度が示された。