西日本皮膚科
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治療
趾爪白癬患者に対するイトラコナゾールパルス療法の臨床効果およびQOL,患者満足度の検討
竹中 基佐藤 伸一西本 勝太郎
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2010 年 72 巻 3 号 p. 256-262

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抄録

爪白癬に対するイトラコナゾールパルス療法の効果は,周知の通りである。今回われわれは,臨床効果を投薬終了時のみならず6ヵ月後まで追跡調査するとともに,QOLおよび患者満足度についてアンケート調査を行った。QOLはDLQI(dermatology life quality index)にて評価した。対象は,治療開始時は19例であったが,第3サイクルまで処方されたのは15例であり,3ヵ月目来院は13例,6ヵ月目来院は9例であった。混濁比(0~10)は初診時5.8,3ヵ月後3.6,6ヵ月後1.2と有意に減少していた。総合臨床効果も,3ヵ月後は著効以上が61.6%であったが6ヵ月後は88.8%と上昇しており,投与中止後も症状の改善が認められた。QOLは,「症状・感情」が改善していたが有意差はなく,総合得点も低値で,QOLの障害は認めにくかった。また,患者満足度は,30.8%が費用が高いと感じていたが,76.9%が治療効果に満足しており,84.6%が改めて爪白癬の治療を行う際もパルス療法を選ぶと回答していた。6ヵ月後まで経過を追えた症例では,1例をのぞき著効以上の効果を認め,全例で治療効果には満足していた。以上より爪白癬の治療においては,イトラコナゾールパルス療法は治療効果と患者満足度において非常に有効な治療と考えた。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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