2010 年 72 巻 4 号 p. 344-348
症例1 : 64歳,男性。顔面,躯幹,上肢,手指背に紅斑があり,筋症状はなかったが,胸部CTにて間質性肺炎を認めた。特徴的な皮疹から間質性肺炎を伴った皮膚筋炎と診断した。その後徐々に嚥下困難が生じ悪化し,プレドニゾロン(PSL)を60 mg/日投与したが改善しなかった。症例2 : 80歳,男性。顔面,手指背の紅斑,筋力低下,重度の嚥下障害を認め,アルドラーゼとミオグロビンの上昇,筋電図所見から皮膚筋炎と診断した。PSL 60 mg/日投与で皮疹・筋力低下は改善したが,嚥下困難は全く改善しなかった。2症例ともに免疫グロブリン大量療法(IVIG)で嚥下困難は改善した。皮膚筋炎において嚥下障害は予後不良因子の一つで,難治例に対しIVIGは試みるべき治療の一つであると考えた。